派遣労働者の同一労働同一賃金(8) 情報提供する待遇内容とは
2020年02月03日(月)
待遇決定方式が【 派遣先均等・均衡方式 】【 労使協定方式 】 のいずれの場合も、派遣先は、労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、派遣元事業主に対し、派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金等の待遇に関する情報を提供しなければなりません。
前回の「比較対象労働者」に続き、その労働者と比較した、どのような待遇情報を提供しなければならないのかについてです。
■提供する「待遇に関する情報」とは
派遣先均等・均衡方式の場合
①比較対象労働者の職務の 内容、職務 の 内容及び配置の変更 の範囲並びに雇用形態
②比較対象労働者を選定した理由
③比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容(昇給、賞与その他の主な待遇がない場合には、その旨を含む。)
例:基本給、賞与、役職手当、精皆勤手当、通勤手当、出張旅費、食事手当、退職手当、住宅手当、家族手当、慶弔休暇、教育訓練など
④比較対象労働者の待遇のそれぞれの性質及び当該待遇を行う目的
⑤比較対象労働者の待遇のそれぞれを決定するに当たって考慮した事項
労使協定方式の場合
①派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者に対して、業務の遂行に必要な能力を付与するために実施する教育訓練(法第 40 条第2項の教育訓練)
②給食施設、休憩室、更衣室(法第 40 条第3項の福利厚生施設)
労使協定方式は、基本的に統計情報から得られる賃金水準をもとに協定を締結しますが、派遣先でなければわからない情報もあります。
たとえば社食や休憩室、更衣室やロッカー、などです。
それはさすがに教えてもらわなければわかりませんね。
なお、派遣元事業主は、派遣先から情報提供がないときは、派遣先との間で労働者派遣契約を締結してはいけないことに、注意が必要です。
派遣業の同一労働同一賃金コンサルティング(中小企業向け)のページはこちら。
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同一労働同一賃金(4)どうすれば適法になるのか?〈a〉ガイドライン概要
同一労働同一賃金(5)どうすれば適法になるのか?〈b〉基本給・賞与
同一労働同一賃金(6)どうすれば適法になるのか?〈c〉役職手当・精勤手当
同一労働同一賃金(7)どうすれば適法になるのか?〈d〉通勤手当・時間外手当
同一労働同一賃金(8)どうすれば適法になるのか?〈e〉福利厚生など
同一労働同一賃金(10)対象となる労働者とは ~労働者派遣法~
同一労働同一賃金(11)どうすれば適法になるのか?〈a〉派遣先均等・均衡方式
同一労働同一賃金(12)どうすれば適法になるのか?〈b〉労使協定方式
社会保険労務士 金久保眞理