派遣労働者の同一労働同一賃金(6)二つの方式の違い
2020年01月29日(水)
派遣労働者の同一労働同一賃金を実現するための、2つの方法には大きな違いがあります。
簡単に言うと、派遣先の賃金水準になるか、統計に基づいて就業しているエリアの賃金水準になるか、の違いです。
■派遣先均等・均衡方式
派遣労働者と派遣先労働者について、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情を比較して、同一の場合は同様の待遇に扱い、差がある場合には、不合理なものであってはならない、とされるものです。
パート有期法における、正社員と非正規労働者との比較と同じことを、派遣先正社員と派遣労働者においても行う、ということですね。
「派遣先労働者」と比較するわけですから、派遣先から賃金を含めた全待遇情報をもらわなければなりません。
また、派遣先企業の比較対象労働者の賃金水準が、現在の賃金額より高額な場合でも、その差が不合理でない水準にしなければなりません。
■労使協定方式
「労使協定方式」とは、派遣元の会社と労働者とが、労使協定を結びます。
政府に定められた統計情報を使用し、その職種、その地域等の「一般賃金」を算出するほか、派遣元事業者と派遣労働者との間の協定によって、派遣労働者の待遇を決定します。
そうすれば、個別の派遣先から賃金データなどの待遇情報をもらって、その都度均衡を図る必要は無い、という形です。
ただ、派遣先でないとわからない、食堂などの福利厚生等については、派遣先から情報をもらうことになります。
どちらが、手間がかかるのか。
派遣先従業員の賃金を、派遣元に提供しなければならないのはどちらか。
どちらが、派遣労働者にとって賃金やキャリアに連続性があるか。
選択しなければなりませんし、方式の選択後も準備には時間がかかります。
しかし、労使協定を選択したい場合、2020年3月31日までに締結する必要があります。
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社会保険労務士 金久保眞理