同一労働同一賃金(16)行政ADR
2019年11月22日(金)
「行政ADR(裁判外紛争解決手続)」という言葉をご存じでしょうか。
行政ADRとは、事業主と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続きのことをいいます。
働き方改革が目指す「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」のために、今回の法改正で行政による事業主への助言・指導等や行政ADRの規定が整備されます。
■具体的にどういう制度?
訴訟によらない紛争解決方法です。
裁判をするよりも、もっと柔軟に紛争解決をはかることができる制度として注目されています。
都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行います。
「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの対象となります。
ADRによる解決方法には、「あっせん」「調停」「仲裁」が挙げられます。
■どういう特徴があるの?
行政ADRの特徴として、次のようなものが挙げられます。
・解決までの過程が非公開で行われ、結論も原則として公開されない
・日程調整が柔軟にでき、迅速に解決を進めやすい
・専門的な知識を持った第三者に関わってもらいながら解決を求めることができる
・費用を抑えることができる
この改正法の施行期日は2020年4月1日です。
紛争に至らないことが一番かと思いますが、こういった制度があることを押さえておくといいかもしれません。
働き方改革、同一労働同一賃金等にともなう法改正対応をお考えの方は、ぜひあおい社会保険労務士法人へお問合せください。
=全16回=
同一労働同一賃金(2)対象となる労働者とは ~パート有期労働法~
同一労働同一賃金(3)不合理な待遇差の禁止、差別的取扱の禁止
同一労働同一賃金(4)どうすれば適法になるのか?〈a〉ガイドライン概要
同一労働同一賃金(5)どうすれば適法になるのか?〈b〉基本給・賞与
同一労働同一賃金(6)どうすれば適法になるのか?〈c〉役職手当・精勤手当
同一労働同一賃金(7)どうすれば適法になるのか?〈d〉通勤手当・時間外手当
同一労働同一賃金(8)どうすれば適法になるのか?〈e〉福利厚生など
同一労働同一賃金(10)対象となる労働者とは ~労働者派遣法~
同一労働同一賃金(11)どうすれば適法になるのか?〈a〉派遣先均等・均衡方式
同一労働同一賃金(12)どうすれば適法になるのか?〈b〉労使協定方式
社会保険労務士 板垣ゆりか