もはや昭和ではない
2022年09月16日(金)
「もはや昭和ではない」
最近世間をざわつかせているこの言葉、ご存じでしょうか。
(昭和生まれとしては、ドキッとしてしまいます…)
「『もはや戦後ではない』なら知っているけど…」という方もいらっしゃるかもしれません。
戦後復興が終わって高度経済成長期を迎えるにあたり、意識変化を促すために用いられた1956年の経済白書の言葉です。
これをなぞった「もはや昭和ではない」というフレーズ、
2022年6月14日に政府が閣議決定した「男女共同参画白書」で謳われています。
男女共同参画白書とは、男女共同参画社会基本法という法律に基づき毎年作成されている報告書です。
今年は「人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~」がテーマとされ、
昭和から令和の現代で、家族の姿というのがどのように変わったかが分析され、次のような結果が公表されています。
・昭和55年(1980年)時点では、「夫婦と子ども」「3世代等」の家族構成が全世帯の6割以上を占めていたが、
2020年では最も多いのが「単独」の世帯で全世帯の38.0%を占め、次に多いのは「夫婦と子ども」世帯だが、
25%に低下。また、「ひとり親世帯」は増加傾向
・この40年間で、「未婚」または「離別」(離婚して再婚しない)の割合が男女ともに大幅増加
・昭和の時代に多く見られたサラリーマン夫と専業主婦の妻、子どもという家族は減少し、
「雇用者の共働き世帯」が2021年時点で「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」の2倍以上
・今や、女性の半数は90歳以上まで生きる。まさに人生100年時代と言える
・男性と女性の賃金格差は依然として存在し、またすべての年代の男性の2~3割が
「相手の年収はもっと低くて良い」と考えている
このように、家族のかたちが多様化し、雇用の状況も変化し、寿命だって変わってきているにもかかわらず、
政策や制度は「サラリーマン夫と専業主婦の妻と子ども」をベースにしたままです。
「男は仕事、女は家事・育児」という昭和のままの考え方をベースにした制度設計は時代遅れでしかありません。
「もはや昭和ではない」のです。
現実を見て、受け入れ、それに対応していくことが求められています。
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社会保険労務士 板垣ゆりか