介護離職
2016年05月27日(金)
「介護離職」
近年よく取り上げられているこの言葉ですが、大きな問題と言われているのはなぜなのでしょう。
介護が必要になる年齢は人によって異なりますが、75歳を過ぎると介護や支援が必要となる人の割合が増えてきます。介護が必要になり始める親がいるのは40代、50代の働き盛り世代が多くなっています。
大家族で暮らし、介護を分担してくれる人がいればまだいいですが、自分ひとりで対応しなければ、と抱え込むような状況だと、介護と仕事の両立というのは、肉体的にも精神的にもつらいものとなります。このような状況で離職をしてしまうと、介護をしている間は就職もままならず、金銭的な不安がつきまとい、いざ再就職となった場合、年齢的な理由やブランクを乗り越えられない等により難しい、という現状があります。これが介護離職の大きな問題であり、一億総活躍社会実現の妨げになっています。
会社にとっても、経験を重ねた従業員が介護のため離職してしまったり、介護を抱え精神的に落ち込んでしまったり、といった状況は大きな損失になるのではないでしょうか。
国は会社に介護休業制度を設けることを求めています。
簡単に言うと、要介護状態にある家族を介護する従業員が希望する場合に、93日間の介護休業を与える、というものです。
この93日という期間、なぜこんな短い期間なのかと疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそもこの介護休業制度というのは、介護と仕事の両立できる社会の実現を目指して定められているものです。つまり、この93日という期間は、従業員が介護をするための期間ではなく、要介護認定の申請をする、ケアマネージャーにケアプランを作成してもらう等、介護と仕事を両立するための準備をする期間なのです。
今後、団塊世代が70歳代に突入することに伴い、介護問題を抱える従業員は増加していくと考えられます。
介護は誰もが直面する可能性のある問題です。
介護が必要になるタイミングは突然やってきます。しかも、いつまで続くのか先が見えません。
介護休業法を理解し、制度作りを進めるのはもちろんですが、介護が必要になった場合に利用できるサービスについて研修を行う等、介護離職を防ぐにはどうしたらよいか考えてみてはいかがでしょうか。
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社会保険労務士 板垣ゆりか
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