「フリーランス新法」って? 規制の内容とは
2024年08月13日(火)
2024年11月より施行される「フリーランス新法」。
前回のブログでは、この法律が対象としている取引について説明しました。
今回はフリーランス新法の具体的な規制内容について、簡単に説明します。
【1】取引の適正化
(1)取引条件の明示義務
・業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合、直ちに、「明示すべき事項(提供される役務の内容、報酬額、支払期日等)」について、書面又は電磁的方法(メール、SNS等)により明示しなければならない。
(2)報酬の支払期日
・原則
特定業務委託事業者は、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で、報酬の支払期日を定めて、それまでに支払わなければならない。
・再委託の例外
再委託であり、一定の事項を明示した場合、この再委託に係る報酬の支払期日は、元委託支払期日から起算して30日以内のできる限り短い期間内で定めることができる。
(3)特定業務委託事業者の遵守事項
特定受託事業者との1ヵ月以上の業務委託に関し、以下1)~5)の行為をしてはならない。また、6)7)の行為によって特定受託事業者の利益を不当に害してはならない。
1)受領拒否
2)報酬の減額
3)返品
4)買いたたき
5)購入・利用強制
6)不当な経済上の利益の提供要請
7)不当な給付(提供される役務)内容の変更及び不当なやり直し
【2】就業環境整備
(1)募集情報の的確表示義務
特定業務委託事業者は、広告等(新聞、雑誌に掲載するもの、ホームページ等)により特定受託事業者の募集を行うときは、その情報(業務内容、場所・期間・時間、報酬等)について、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならない。
(2)育児介護等と業務の両立に対する配慮義務
特定業務委託事業者は、6ヵ月以上の業務委託について、特定受託事業者からの申出に応じて、育児介護等と両立して業務を行えるよう、必要な配慮をしなければならない。
(3)ハラスメント防止措置義務
特定業務委託事業者は、ハラスメント行為(パワハラ、セクハラ、マタハラ)により特定受託業務従事者の就業環境を害することのないよう、相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じなければならない。
(4)中途解約予告義務
特定業務委託事業者は、6ヵ月以上の期間行う業務委託に係る契約を中途解除したり、更新しない場合には、特定受託事業者に対し、少なくとも30日前までにその旨を予告しなければならない。
ご参考:厚生労働省リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/001261528.pdf
上記の通り、この法律の適用となる業務委託には、様々な規制が適用されることになります。
すでにクリアされているところもあるかもしれませんが、新たに整備しなければならない内容もあると思いますので、法施行までに対応を確認しておきたいですね。
新法の概要は以上ですが、そもそも、この法律の対象となる「業務委託契約」なのか、労働法の対象となる「雇用契約(労働者)」なのか、という観点が非常に大事です。
労働者性の判断というのは、契約内容ではなく実態で判断されますので、こちらも併せてご確認ください。
ご参考:フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/000766340.pdf
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社会保険労務士 板垣ゆりか