新型コロナに関する「母性健康管理措置」と「休暇取得支援助成金」
2020年07月22日(水)
現在、新型コロナウイルス感染症に感染しないよう、多くの方が対策を取られていることと思います。
中でも、妊娠中の労働者の不安はとても大きいことでしょう。
事業主には、『妊娠中の女性労働者が、新型コロナ感染に怯えることなく健康に過ごせるよう、休みやすい環境づくり』を行うことが求められます。
そこで、5月7日に適用が始まったのが、『新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置』と、6月15日から受付が始まった、『新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金』です。
新型コロナウイルス感染症に関する「母性健康管理措置」
従来からある、男女雇用機会均等法に基づく「母性健康管理上の措置」に、さらに新型コロナウイルス感染症に関する内容が加えられ、改定されました。
内容は、妊娠中の女性労働者が
・仕事上、新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響がありうる
・上記について、医師又は助産師から指導を受けた
・事業主に申し出た場合
・事業主は、この指導に基づき、作業の制限、出勤の制限(在宅勤務又は休業をいう。)等の必要な措置を講じる
となっています。
なお、母性健康管理措置には、他にも以下のような措置があります。
・妊娠中の通勤緩和
・休憩に関する措置
・妊娠中又は出産後の症状等に関する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業等)
・時間外、休日労働、深夜業の制限(主治医等の指導不要)
など
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による「休暇取得支援助成金」
上記の措置が適用となったことから、女性労働者に有給の特別休暇を付与した場合に、事業主に対する助成を行うものです。
助成金を申請するためには、上記の期間、対象内容の従業員・特別休暇の内容であることだけでなく、他にも要件があります。
・2020年9月30日までに、通常の有給休暇制度とは別に、上記の措置としての特別休暇制度を整備すること
・年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われる制度であること
・制度を従業員に周知すること
・この特別休暇を5日以上取得させたこと
・1事業所あたり、20人まで
申請期間は、2021年2月28日までです。
引き続き感染症対策が必要な状態は続いていますから、今後妊娠される可能性がある従業員のためにも制度だけでも整えておきたいですね。
休暇制度の作り方や周知方法など、ご不明なときはぜひご相談ください。
従業員の不安を取り除いてあげたいのはもちろんですが、不安にさらされながら出勤するよりは「できれば安心して休ませてあげたい」とお考えの事業主様もいらっしゃることでしょう。
助成金を活用して、お互いに安心できるような制度にしていきたいですね。
社会保険労務士 金久保眞理