派遣労働者の同一労働同一賃金(14) 労使協定方式 統計情報
2020年02月17日(月)
労使協定方式において、派遣労働者の賃金と比較するものは「一般賃金」と呼ばれます。
一般賃金とは、派遣労働者が従事する業務と「同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額」のことです。
法改正により、労使協定方式を採用した場合、そのエリア、その職種の派遣労働者の賃金は、この一般賃金額以上が求められることになりました。
一般賃金には、
・一般基本給・賞与等
・一般通勤手当
・一般退職金
があります。
今回は、そのうち、基本給・賞与等の確認方法についてお話します。
どこを見ればよい?
実際の派遣労働者の賃金と比べる、そのもととなる統計が定められています(局長通達)。
●賃金構造基本統計調査
●職業安定業務統計
それぞれ、職種別賃金の一覧が示されます。
各職種の業務の内容については、「職業安定業務統計」については職業分類表(独立行政法人労働政策研究・研修機構)、「賃金構造基本統計調査」については当該調査の「役職及び職種解説」で確認します。
統計を確認する際は、古いものを使用しないよう注意しましょう。
社内職種は、局長通知で示す職種(「通知職種」)のどれに当たるか?
上記2つの統計の中で、業務の実態に合った通知職種を選択します。
複数の通知職種の業務を行っている場合は、主に従事する業務に最も近い職種を選択します。
※「 職業安定業務統計」においては、大分類、中分類、小分類のいずれを使うことも可能です。
この際、例えば、派遣労働者の賃金を引き下げることを目的として、同じ中分類の中で、賃金の低い職種は小分類、高い職種は中分類というように、恣意的に通知職種を用いることは認められません。
派遣業の同一労働同一賃金コンサルティング(中小企業向け)のページはこちら。
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社会保険労務士 金久保眞理