派遣労働者の同一労働同一賃金(10)待遇見直しの際の留意点
2020年02月07日(金)
さて、派遣労働者の同一労働同一賃金を実現する方法を選択し
派遣先から待遇情報を受け取ったのち、
派遣労働者の同一労働同一賃金(8) 情報提供する待遇内容とは
方式ごとに定められた方法で、実際に待遇を確認・見直しをすることになります。
実際に確認・見直しを行う際に、留意することがいくつかあります。
■財源の確保
派遣労働者の待遇を見直す際に、原資(財源)を新たに確保することが必要になることがあります。
原資を捻出する方法は、生産性の向上を図る業務効率化のほか、派遣料金の引き上げ等が考えられます。
待遇にかかわる制度の見直しや、派遣先との派遣料金の交渉などが必要となることもありえます。
これらは時間がかかる取り組みとなるので、早めに取り掛かることが必要です。
■労働条件の不利益変更(待遇の引き下げ)への十分な注意
不合理な待遇差の解消を行うにあたって、基本的に労使で合意することなく通常の労働者の待遇を引き下げること(不利益変更)を行う場合の留意事項があります。
労働契約法9条
原則として、労働条件の不利益変更には労働者の合意が必要。
労働契約法10条
就業規則の変更により労働条件を変更する場合は、以下の事項に照らして合理的なものであること。
・労働者の受ける不利益の程度
・労働条件の変更の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合等との交渉の状況
・その他の就業規則の変更に係る事情
変更後の就業規則を労働者に周知させること。
派遣業の同一労働同一賃金コンサルティング(中小企業向け)のページはこちら。
派遣労働者の同一労働同一賃金(3) 改正法はいつから施行されるか
派遣労働者の同一労働同一賃金(4) 対象労働者と「二重適用」
派遣労働者の同一労働同一賃金(5) 方式を決定しないとどうなるか
派遣労働者の同一労働同一賃金(7) 情報提供の比較対象労働者
派遣労働者の同一労働同一賃金(8) 情報提供する待遇内容とは
派遣労働者の同一労働同一賃金(9)待遇情報の取扱い上の留意点
同一労働同一賃金(2)対象となる労働者とは ~パート有期労働法~
同一労働同一賃金(3)不合理な待遇差の禁止、差別的取扱の禁止
同一労働同一賃金(4)どうすれば適法になるのか?〈a〉ガイドライン概要
同一労働同一賃金(5)どうすれば適法になるのか?〈b〉基本給・賞与
同一労働同一賃金(6)どうすれば適法になるのか?〈c〉役職手当・精勤手当
同一労働同一賃金(7)どうすれば適法になるのか?〈d〉通勤手当・時間外手当
同一労働同一賃金(8)どうすれば適法になるのか?〈e〉福利厚生など
同一労働同一賃金(10)対象となる労働者とは ~労働者派遣法~
同一労働同一賃金(11)どうすれば適法になるのか?〈a〉派遣先均等・均衡方式
同一労働同一賃金(12)どうすれば適法になるのか?〈b〉労使協定方式
社会保険労務士 金久保眞理