パートタイム・有期雇用労働者の活用状況等と働き方に関する調査結果
2020年01月20日(月)
先月、独立行政法人 労働政策研究・研修機構より、「『パートタイム』や『有期雇用』の労働者の活用状況等に関する調査」(企業調査) 及び 「働き方等に関する調査」(労働者調査)結果が公表されました。
同一労働同一賃金が言われる中、労働者が今どう思っているか、今後どのような声があがることが予想されるのかが現れた結果となりました。
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(以下、「労働者調査 」調査結果概要より抜粋)
業務の内容も責任の程度も同じ正社員がいる労働者の 3 人に 1 人が、「正社員より賃金水準が 低く、納得していない」と回答>
「業務の内容も責任の程度も同じ正社員がいる」と回答した労働者を対象に、正社員と比べた自身の賃金水準をどう思うか尋ねると、
「同等もしくはそれ以上の賃金水準である」 10.8%
「正社員より賃金水準は低いが、納得している」 21.6%
「正社員より賃金水準が低く、納得していない」 33.5%
「何とも言えない・分からない」が 32.8%
業務の内容が同じ正社員と比較して、納得できない制度や待遇のトップは「賞与」
「業務の内容が同じ正社員がいる」と回答した労働者を対象に、そうした正社員と比較して納得できない制度や待遇があるか(複数回答)
①「賞与」(37.0%)
②「定期的な昇給」(26.6%)
③「退職金」(23.3%)
5 人に 1 人が、正社員との不合理な待遇差を感じたことが「ある」と回答
現在の勤務先に限らずこれまで働いてきた中で、正社員と「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の間で、業務の内容及び責任の程度、人材活用の仕組み、その他の事情に照らしても、不合理な待遇差を感じたことがあるか
「ある」 21.3%
「ない」 35.2%
「分からない・考えたことが無い」 39.4%
不合理な待遇差を感じたことが「ある」場合に、企業に対して待遇差の理由等の説明を求めたいと思うか
「説明を求めたい」 37.2%
「必要ない」 25.2%
「分からない・考えたことが無い」 36.7%
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納得できない、疑問に思う、理由を教えてほしい、と思う感情は自然なことと思います。
でも、その感情が不満となっていったとき、どうなるでしょうか。
今回の法改正により「不合理な待遇差をなくす義務」と「労働者に説明する義務」が企業に課されます。
もしその義務が果たせない場合には、感情にとどまらず、紛争となる可能性があります。
また、注目したいのは上記調査の中で「分からない・考えたことが無い」という回答の割合が高いことです。
今まで考えたことがなかった人が、ニュースや報道など社会の潮流の中で
「これはおかしいかもしれない」
「声を上げれば変わるかもしれない」
と考えるようになるかもしれません。
賃金だけでなく、福利厚生を含めて「不合理な待遇差がない」状態にするための対応が求められています。
何をすればよいのかわからない、そんなときはぜひご相談ください。
過去のブログ
同一労働同一賃金(2)対象となる労働者とは ~パート有期労働法~
【2017年1月12日】同一労働同一賃金ガイドライン案
【2017年1月6日】変化をどう捉えるか
社会保険労務士 金久保眞理