働き方改革(9)勤務間インターバル制度
2018年11月07日(水)
2019年4月1日より、
「1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に、一定時間の休息時間を確保すること」
が努力義務となります。
いわゆる『勤務間インターバル制度』というものです。
働き方改革に関連して、労働時間等設定改善法という法律の改正によって、このように変わることになりました。
目的・内容
目的は、労働者の十分な生活時間や睡眠時間を確保するためです。
事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければなりません。
休息時間は、「一定時間」となっていますが、これに関連する助成金では、成果目標の設定として
『休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入すること』
とありますから、少なくとも9時間以上の休息時間が想定されていると考えられます。
『11時間』のナゾ
ところで、なぜ勤務終了後~次の日の出社までの時間に「11時間」という数字が出てくるのか考えてみました。
そのときにおさえておきたいのは、平成31年(2019年)4月1日より、時間外労働の上限規制が始まる、ということです。
これにより、例外として臨時的で特別な事情があったとしても、時間外労働は複数月平均80時間以内でなければなりません。
(例)週休2日制、1ヵ月の所定労働日数20日の場合
時間外労働が月80時間、1ヵ月の労働日数が20日なら、1日あたりの時間外労働は80÷20=4時間が限度です。
1日24時間 ー 所定労働時間8時間 ー 休憩1時間 ー 時間外労働4時間 = 11時間
ということは、計算上、次の勤務まで11時間以上ないと『時間外労働 月80時間以内』は達成しませんよね。
また、平成28年社会生活基本調査を見ると、睡眠+食事+身の回りのこと+通勤=11時間強、となっています。
11時間必要、というのは実際の生活においても平均的と言えるのかもしれません。
誰にとっても、1日は24時間しかありません。
勤務間インターバル制度は努力義務ではありますが、時間外労働の上限規制が始まることを考えると、必然的に考えざるを得ないことかもしれません。
そこでどうするか?
これを達成する方法のひとつとして活用が検討されているのが変形労働時間制、中でもフレックスタイム制度。
ただし、導入には制度の理解、社内の体制や就業規則、労使協定などの整備も必要となります。
まずは社内の状況を確認するところから。
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社会保険労務士 金久保眞理