働き方改革(5)中小企業の時間外労働割増賃金率アップ 猶予廃止措置
2018年10月26日(金)
1か月の起算日からの時間外労働時間数を累計していき、60時間を超える時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
中小企業への施行猶予の廃止決定
この改正は、中小企業においてはまだ施行を猶予されていました。
時間外労働抑制のための業務処理体制の見直し、新規雇入れ、省力化投資等の速やかな対応が困難であり、やむを得ず時間外労働を行わせた場合の経済的負担も大きいと考えられていたためです。
しかしこのたび、平成35年(2023年)4月1日から、猶予が廃止されることとなりました。
平成22年に決定したものが、中小企業に対しては「速やかな対応が困難」「経済的負担が大きい」ことから、その対策・準備のために猶予されていたと考えると、いざ施行されてから「聞いてない!」というわけにはいかないでしょう。
就業規則への記載
1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率及び1か月の起算日については、労働基準法に定める絶対的必要記載事項なので、就業規則に規定する必要があります。
時間外労働と法定休日
『1か月60時間超の時間外労働』の算定には、法定休日に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日に行った時間外労働は含まれるからです。
とはいえ「法定休日とそれ以外の休日は違う」と言われても、どちらも同じ「おやすみ」ですから、違いを明確に定めてもらわないとわかりません。
労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点からいうと、就業規則において、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことが望ましいものです。
深夜残業に対する割増賃金
深夜(22:00~5:00)の時間帯に対する割増賃金は25%です。
したがって、月60時間を超える時間外労働を、深夜(22:00~5:00)の時間帯に行わせた場合の割増賃金率は、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。
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社会保険労務士 金久保眞理