労働基準法改正案の状況(平成27年4月)
2015年05月10日(日)
4月3日に、内閣から国会に提出された、労働基準法の改正案についてのまとめです。
先日、当ブログでも『今後の労働時間法制等の在り方について』として触れましたが、今後も引き続き現状の確認と法改正の動向について追っていきたいと思います。
(1)中小企業の月60時間超に対する割増賃金の引き上げ
中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の猶予措置を廃止。
平成31年度より現在の25%以上から大企業と同水準の50%以上に引き上げる。
(2)著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設
時間外労働に係る助言指導に当たり、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨を明確にする。
(3)一定日数の年次有給休暇の確実な取得
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。
(4)企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取り組み促進
企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取り組みを促進するため、企業全体を通じて一の労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年休の計画的付与等に係る労使協定に代えることができることとする。
(5)フレックスタイム制の清算期間の上限を延長
清算期間の上限を現行の1カ月から3カ月に延長する。
ただし、1カ月の労働時間が1週間当たり50時間を超えたときは割増賃金の支払い対象とする。
(6)企画業務型裁量労働制の見直し
企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加するとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続きの簡素化等の見直しを行う。
(7)特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)
職務の範囲が明確で一定の年収を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
※(1)は2019年4月、ほかは2016年4月施行予定
過去のブログ
【2015年2月10日】 60時間を超える時間外労働の割増計算
【2014年12月25日】 今後の長時間労働対策
【2015年2月13日】 有給休暇5日の取得が義務化へ
【2014年12月1日】 「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が公布されました
金久保眞理
改正高年齢者雇用安定法、改正労働契約法への対応実施中!
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