10月1日から最低賃金額が改定されますね。最低賃金の上昇は昨今の流れでもあります。

そこで今回は、『最低賃金が上がるとどうなるのか?』について考えてみます。

労働者にとっては、一見「給料が上がる」ように見えるかもしれません。

しかし本当にそうでしょうか?

事業を取り巻く状況は変わらないのに、人件費だけが突然上がったとしたら?
企業はどんな対応を考えるでしょうか?

人件費の総額は簡単に変えられない、という現実
最低賃金の上昇に合わせて、自動的に売り上げが増えてくれることはありません。
売上を増やすにも、商品単価を上げるだけでは、結果としてマイナスになる可能性も。

→ 賃金総額に合うよう、労働時間を減らす = 個人の賃金総額の減少

→ 賃金総額に合うよう、従業員を減らす  = 失業者の増大

これでは、事業活動だけでなく経済自体も縮小してしまうかもしれません。
では他にどのような方法があるのでしょうか。

賃金とは「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう(労働基準法より)」

そう、「労働の対償」なんです。賃金は社会保障ではありません。

だから賃金が上がったのなら、労働者にはその賃金に見合う働き・能力が求められることになります。

そしてその能力の人材が欲しいのであれば、企業には、そのための原資、その能力を活かせる環境、労働者の能力を正しく評価する力等が求められます。

スキルとは何か?

労働者にとっては、資格、技術、経験、学歴などが従来から言われています。

諸説ありますが、そこに「あたりまえを疑う」という能力(「課題発見力」)が必要になってきています。そして「そこからどうしたらいいかを形にできる」能力(「課題解決力」)も。

受け身ではなく、本当に重要なことは何なのかに気が付き、見極め、単に否定するだけではなく、よりよい形目指してを表現する力です。(良い意味で”空気を読まない”能力とも言われています。)
学校教育も、その流れに変わりつつあります。

企業にとっても、その能力をきちんと認めて評価できる能力と、それを活かす能力が求められます。
「~べき」「~のはず」「~に違いない」にとらわれている企業に人材が集まるでしょうか。
出る杭を打つのではなく、出る杭の質を見極め、対話できることが重要となっていきます。

資格、技術、経験、学歴などであれば数値化は比較的簡単ですが、課題発見力・課題解決力等は見えにくいものです。
人事制度・採用・研修・キャリア支援などにおいてどのようなサポートができるのか、今後の私たちにとって大きな課題でもあります。

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