2018年6月1日、二つの訴訟の上告審で、最高裁判所から判決が言い渡されました。
正社員と非正規労働者との格差是正を求める裁判は各地で起きていますが、最高裁からの判決は初めてです。
ハマキョウレックス事件最高裁判決(平成28(受)2099)
長澤運輸事件最高裁判決(平成29(受)442)
- 『同じ仕事をしているのに』
ひとつは、物流会社「ハマキョウレックス」で非正規労働者として働くトラック運転手が、「同じ仕事をしているのに、正社員と比べて、待遇に格差があるのは不当」として、正社員に支給される手当などの支払を求めていたもの。
もうひとつは、運送会社「長澤運輸」を定年後に再雇用されたトラック運転手が、「同じ仕事をしているのに、定年退職前に比べて定年退職後の再雇用で賃金が下がったのは不当」として、会社に是正を求めた訴訟です。
- 『今回の判決』
労働契約法第20条に照らした判断が行われ、長澤運輸に関する判決では、手当については個別判断が必要とされたものの、「定年後の再雇用による待遇格差は一般的であり、社会的にも容認」という旨の判断が示されたことは、大きな出来事でした。
一方で、ハマキョウレックスに関する判決では、非正規労働者への手当の一部について、不支給なのは不合理=支給すべき、と支払いが命じられました。
- 『判決が将来に与える影響』
雇用条件によって、正社員と非正規労働者との間に賃金などの労働条件の格差=違いは多くの企業で存在します。
その違いが不合理であるか、是正しなければいけないかどうかの判決は、今後の非正規労働者の労働条件・雇用に大きな影響を及ぼすでしょう。ひいては賃金体系、人事慣行、企業経営にも大きく影響すると予想される、とても重要な判決です。
例えば手当の種類や出し方、非正規労働者の基本給の設定など、給与体系も対応が必要となる可能性があります。
正社員と正社員以外の労働者との待遇の格差については、今回を含めて今後の判例によってどのように方向づけられていくのか、引き続き注目していく必要があります。
