政府は2023年10月から、「年収の壁・支援強化パッケージ」を始めました。

厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html

一定規模以上(現行、従業員数101人以上)の企業においては年収106万円以上になると社会保険加入義務が生じるため、パート等が勤務調整を行う「106万円の壁」という問題があります。

政府はこちらへの対策として、パート等が社保加入の際に手取り収入を減らさない取り組みを実施する企業に対し、キャリアアップ助成金に「社会保険適用時処遇改善コース」を設けることで、支援を行っています。

厚生労働省「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/syakaihoken_tekiyou.html

このコースには、「手当等支給メニュー」と「労働時間延長メニュー」があります。
今回はこちらの2つについて概要をお伝えします。
※なお、この助成金は従業員数100人以下の会社でも対象となります。

(1)手当等支給メニュー

概要

企業が労働者に社会保険を適用させる際に、「社会保険適用促進手当」の支給等により、労働者の収入を増加させる場合に助成するもの

具体的には…

・1年目・2年目は、標準報酬月額・標準賞与額の15%以上を「社会保険適用促進手当」として支払うことで対象となり、1人当たり中小企業で20万円(大企業では15万円)を支給
・3年目は、賃金の18%以上を増額させた場合に、1人当たり中小企業で10万円(大企業では7.5万円)を支給

その他

・助成金申請は6か月ごとに行います
・「社会保険適用促進手当」について、就業規則に定めなければなりません
・特例措置として、一定の要件に該当する「社会保険適用促進手当」分は、社会保険料の算定対象外となります(最大2年間)
・「労働時間延長メニュー」との併用も可能です

(2)労働時間延長メニュー

概要

所定労働時間の延長により社会保険を適用させる場合に助成するもの

具体的には…

・週所定労働時間を4時間以上延長
・所定労働時間の延長と賃金の増額を組み合わせる

上記どちらかを満たし、6ヵ月継続して取り組んだ場合、労働者1人当たり中小企業で30万円(大企業の場合は22.5万円)を支給

要件を見ると、(1)手当等支給メニューについては、かなり事務負担が大きくなり、既存の社保加入者とのバランスも気になるところです。
一方、(2)労働時間延長メニューについては、4時間以上週所定労働時間を延長するだけでも要件を満たすので、検討しやすいように思われます。

採用がなかなか難しく、既存のパートさん等の労働時間延長を検討されているといったご相談を受けることも増えてきました。
助成金をうまく活用して、人材活用を考えていきたいですね。

あおい社会保険労務士法人では、顧問のお客様の助成金へのご相談に対応しています。
お気軽にお問い合わせください。

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