近年「カスハラ」という言葉をよく耳にするようになりました。
酔っ払いが駅員さんに殴り掛かった、会計を間違えたコンビニ店員に客が土下座を強要した・・
こういった様子を映した監視カメラやスマホの映像がニュースで流れるのを、目にしたことがある人も多いでしょう。

社会問題となりつつも、やや日常化しているカスハラ(カスタマーハラスメント)ですが、これが原因で従業員がメンタル不調に陥ったり、最悪、自殺してしまうような事例が現実に起こっています。

今年7月に、こんなニュースがありました。
「カスハラで自殺、労災認定 20代の住宅メーカー営業職」(2024/7/24日経新聞より)

住宅メーカーで営業職だった20代男性が2020年に自殺したのは、顧客による著しい迷惑行為、いわゆるカスハラなどが原因だったとして、労働基準監督署が労災認定した、という内容です。
精神障害による労災認定は、2023年度には883件で過去最多を更新していますが、このうち、カスハラによる労災は52件ありました。社内で発生するセクハラやパワハラと違い、カスハラは顧客や取引先が加害者になるため、予防や処分が難しい一面があります。
現時点で、カスハラを規制する具体的な法律もありません。

しかし、JR東日本やしまむらなど、多くの企業がカスハラへの対策方針を対外的に発表し、この問題から従業員を守るという意識が広がっています。
政府も、2022年に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を発表したり、労災の認定基準にカスハラを加えるなどの対策を進めており、さらに法整備に向けて動いています。

職種や企業文化の違いよって、カスハラの判断基準や対応方法は企業ごとに違ってきます。
正当なクレームと暴言を線引きし、毅然と対応する会社もあれば、顧客第一主義の中で、お客様が納得いくまで対応する、という会社もあるでしょう。
大切なのは、各社であらかじめ判断基準を明らかにした上で、対応方針を統一して、現場と共有しておくことです。
従業員が安心して働けるよう、カスハラ問題について考えてみてはいかがでしょうか。

ハラスメント対策でお悩みの方は、あおい社会保険労務士法人までお気軽にご相談ください。

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